世界中のボクシングファンや関係者が大注目していたカードが、遂に12月7日(日本時間)にラスベガスで行われました。
個人的にも待ちに待った試合です。
ボクシングファン、ボクシングマニア、ボクシングフェチである、僕のボクシングに対する想い歴は、1973年1月25日、世界チャンピオンのまま23歳の若さで夭逝した「大場政夫」への想い入れから始まりました。
僕は世界のボクシング・南半球のラグビー・究極の格闘技UFCを観戦するのが大好きです。
3つの競技を合わせれば年間、何回かは「凄い」と言える試合に出会いますが、ボクシングだけで言うと、芯から興奮する試合は1年か2年に1回あるかないか・・・でしょうか?
この日のボクシングはその1回に値する貴重なゲームです。
オスカー・デラ・ホーヤ(アメリカ・35歳・44戦39勝30KO5敗) VS マニー・パッキャオ(フィリピン・29歳・52戦47勝35KO3敗2分)戦・・・
僕も足を運んだ事のある思いでのMGMグランドホテル(ラスベガス)で行われました。
この試合のチケットは、発売が決まって売り出されたとたんにSOLD OUTとなったほど注目が集まっていました。
オスカーはバルセロナ五輪の金メダル獲得以来、プロ転向後もエリート街道まっしぐらで、ゴールデンボーイの名を欲しいままにし、歴代史上初の6階級制覇を果たし、今ではポロモーターとしても敏腕をふるう、まさにボクシングの申し子のような存在です。
かたやパッキャオはアジア初の4階級制覇を成し遂げた、我らがアジアの誇りです。
しかしこの試合がマッチメイクされた時には、様々な批判がありました。
まず両者の体格差があり過ぎてボクシングとして成立すのかと言った声も、その中のひとつでした。
今回はウエルター級(63.5~66.7㎏)ノンタイトル戦ですが、オスカーはスパーフェザー級からミドル級(69.9~72.6㎏)まで行った男で、パッキャオは、フライ級からライト級(59.0~61.2㎏)へと来た男です。
身長もオスカー179cm、パッキャオ169cmとその差は10cmもあり、リーチ差も13cmもあります。
ボクシングのルール内では、どう見てもパッキャオは不利です。
と言うかメイク自体が無謀です・・・
今回の試合のキャッチコピーは「ザ・ドリームマッチ」
この言葉が示す意味は、これだけ体重差があったらマッチメイクはできない・・・
と言う意味も込められ、まさに夢のマッチ・・・と名づけられました。
勝敗の予想やオッズを多くの評論家やマスコミ、一流の選手が答えていましたが、一様に表現は柔らかでオブラードに包んだ言い方でしたが、要約すると体格差があり過ぎてパッキャオはオスカーには勝てない、その上キャリアが違い過ぎる・・・とパッキャオを一蹴するようなコメントがほとんどでした。
専門家のほぼ全員がオスカーの勝利・・・と発言しました。
確かにオスカーは偉大過ぎます。以前このブログでも紹介したオスカーVSメイウェザー戦では、僅差の判定でオスカーが負けましたが、オスカーが勝っているような内容にも見えたほど、あの人間離れした「時空を超えるスピード」を持つ、メイウェザーを唯一追い詰めたのはオスカーでした。
オスカーはデビュー時から「必ず6階級取る!」と明言し自分の体重やキャリアを計算し、つまり人生の成功をあたかも分かっているかのように逆算して本当に栄光を手に入れると言う偉業をやった男です・・・
まさに夢のような有言実行をやってのけました・・・
本当は今回の試合はオスカーの引退試合としてその相手はメイウェザーとし・・・今度こそ再戦で勝ってオスカーの引退の花道としたかったのでしょうが、今年世界のボクシング界が驚く事件が起こりました・・・あのメイウェザーが全勝の最強期に突然の引退を発表したために、オスカーは方向転換を余儀なくされました。
一転二転し、結局パッキャオ戦に落ち着きました・・・
しかしオスカーの引退試合とはしませんでした・・・
ファイトマネーはオスカーが20億以上! パッキャオは10億以上!と言う破格です。
7日の午前11時からWOWOWでライヴ放送でしたが、アンダーカードから盛り上がり、午後を越えて、いざ二人が登場した時には緊張がピークに達しました・・・
しかしリング上で二人を見比べると。分かっていた事ではありますが、その体格差に驚きました・・・
オスカーが一回りは大きい・・・
「こりゃ~いくらパッキャオのパンチでも効かないし、顔までは届かないかな・・・」
僕は当然アジア初4階級達成のパッキャオを応援しています・・・
アジアのボクサーが本場ラスベガスの舞台で脚光を浴びるなど、これまでは考えられない事でしたから。しかもゴールデンボーイ、オスカーを相手に・・・パッキャオは本当に誇りであり星であります・・・
両者のセコンドにも因縁のある大物がつき話題性を呼び、試合を盛り上げる演出は申し分なしです・・・
1ラウンドのゴングがなり両者中央へ・・・
息が止まる瞬間です・・・
しかしボクシングの神はどんなシナリオを書くか分かりません・・・
パッキャオはつま先で立ち、いつものように抜群のリズム感でイン・アウトを繰り返し、高速のパンチを繰り出します・・・
体調は至って万全そう・・・
365日のたった1日のこの日に、万全な体調を持ってこないといけません・・それがプロ・・・
13cmもハンディのあるパッキャオの左右のパンチがオスカーの顔にポンポン当たります・・・
オスカーの動きがおかしい・・・
パッキャオの目にも止らない早いパンチがオスカーの顔面とボディにのめり込んで行く・・・
面白いほど・・・
1・2・3ラウンド・・・世界中が信じられない光景に言葉を失っている・・・
スポーツは一度リズムに乗って流れを掴んでしまうと、それを変えるのは難しい・・・
どんどん勢いづくパッキャオ・・・オスカーの端正な二枚目の顔が変形する・・・
解説のジョー小泉さんは、「オスカーはサウスポーの右フックに馴れていないから、左にばかり捕らわれず、あの右フックに気をつけないと」と言っていました・・・
その言葉は回を増すごとに図星となって行きます・・・
しかし見る側もこんな緊張感は久々でした・・・
上手く例えられませんが、小学生の頃、運動会での50m競争がありましたが、いつも勝たないといけないと言うプレッシャーから、走る前は極度の緊張感を覚え、具合が悪くなる・・・生きた心地がしなかった・・・
そんな緊張感が途切れる事なく、ず~っっっと続く・・・1回、2回、3回、4回~全身の毛穴が広がり、鳥になりそうなほど鳥肌が立ち、体中のアドレナリンが逆流して、逆に背中に寒気を感じ、硬直し、常にオシッコへ行きたい感じ・・・(笑)(ほとんどバカですね)
でも幸せです・・・そこまで集中できる観戦趣味が自己の中にある(落語でも映画でもスポーツでも読書でもetc・・・)そんな感性を持てた人間であることに喜びを感じています。
同じ生きるのなら、冷めた人生は送りたくない・・・
・・・試合に戻りますと、8回終了時に奇跡は起こりました・・・
左目がふさがってしまったオスカー陣営は試合ストップを要請・・・
次の瞬間パッキャオは雄叫びをあげ、リングに膝まつき、声をあげ泣いていました・・・オスカー相手に一方的な試合をしたパッキャオ・・・ほんっっとうに良くやった・・・信じられない・・・
パッキャオのTKO勝ち・・・
多くの下馬評とプレッシャーを覆しての歴史的勝利!!!
一度上げた体重を下げて試合をする難しさを目の当たりにしました・・・
かつてのシュガー・レイ・レナード(最高のボクサーの中の一人)を見るようでした・・・
体重別に分けられた近年のスポーツでは、小さいものが大きいものを倒すと言う現象は相撲や野球など以外では余り見られなくなりました・・・
「小よく大を制す」がボクシングと言う有り得ない競技で起こりました・・・奇跡です・・・
とにかくまだ冷静になれません・・・今日も明日も2回、3回と客観的に見て分析したいです。
熱気覚めやらぬ観戦後は、自宅の庭で子ども達と沢山遊び、クールダウンしました・・・
そんな12月7日でした。
因みに今日は12月8日・・・今も世界中の人々が敬愛するジョン・レノンの命日です・・・
僕もその中の一人です。今日はジョン・レノンをいっぱい聴きます・・・
何年か前の12月8日、以前親しくしていた大物ロックミュージシャンとの忘年会での席で、「今日はジョンの命日ですね」と僕が言ったら、その人は「あっ・・・そうか・・・」と感慨深げにしていたのが印象的で、その風景画が今もずっと頭の中に残っています・・・何故だか・・・Happy Xmas John Lennon
NAGAI